慢性硬膜下血腫
- 2022年9月22日
- 外傷
慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)は字のごとく、慢性の病気で、脳神経外科で最も多く手術が行われている病気でもあります。
頭部打撲後、3週間~6週間程度(慢性)で頭蓋骨と脳の隙間(硬膜下)に血がたまる(血腫)ことで生じます。
「お酒をよく飲む」、「高齢」の「男性」で多い印象です。
頭部打撲後、すぐには検査をしてもわかりませんが、数週間経過して「頭の芯が重い(頭重感)」や「左右どちらかの手足が重い(脱力感)」、「物忘れなどがひどくなった(認知機能低下)」などの症状があれば慢性硬膜下血腫を生じている可能性があります。
頭重感のみであれば、内服の治療で経過をみることもありますが、脱力感が出ている際には手術の必要があります。
手術は10円玉程度の穴を頭蓋骨に開けて、チューブを用いて、血の塊を水に置き換えることを行います。大体、30分程度の手術になります。
また、頭部打撲がなくても、「尻もちをついた」といったことが原因で慢性硬膜下血腫を生じることもあります。
特に高齢者では、脳の萎縮によって、頭蓋骨と脳の隙間が広く開いてきますので、ちょっとしたことでも脳が揺れやすくなるためです。
もちろん、60代や50代でも慢性硬膜下血腫は生じますし、私自身が手術を行った患者さんでは、ジェットコースターに乗ったことが原因と考えられる方もいらっしゃいました。
頭部打撲後に来院された患者さんで、1か月後くらいにもう一度検査をお勧めすることがありますが、このような病気を見逃さないために必要な検査ですので、必ず来院されることをお勧めしております。
頭部打撲後、数週間たって気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。